ここに一つの問題がある。
私はいまコーヒーを飲んでいる。カップいっぱいに注がれたコーヒーは、周囲に熱を伝える。コーヒーの量に応じた熱を、伝えているのだ。熱は、温度が高いところから低いところへ流れる。例えば、風呂場の浴槽に入っているお湯は、いつまでも熱いわけはない。必ず、高温な自身は、浴槽より温度の低い外側へ熱を流している。ここで、浴槽にフタをすれば、熱の流れは強まるだろうか、それとも弱まるだろうか?答えは私たちが経験しているように、熱の流れは弱まる。熱があまり、流れなくなる。つまり、フタをされた密閉な空間に、熱が「閉じ込められる」のだ。
コーヒーだって同じだ。熱いコーヒーが注がれたカップに、フタをしてみよう。すると、どうなるか。結果は上の風呂場の例のように、熱の流れが弱まる。熱が「閉じ込められる」のだ。
宇宙だって同じだ。「熱いコーヒー」に相当するものが注がれた宇宙に、フタをしてみよう。すると、どうなるか。結果は同じく、熱の流れが弱まる。熱が「閉じ込められる」。ただ宇宙の場合、浴槽やコーヒーカップやフタのように、熱いものを閉じ込めるものは一体なんだというのだろう?
私は、宇宙よりずっと身近なコーヒーについて、一つの問題を考えている。
カップに載せたフタを取る。すると高温から低温への熱の流れが強まる。さて、私はコーヒーを飲みたくて注文した。フタを取った瞬間から、熱の流れが強まる。経験から分かるように、コーヒーはだんだん冷めてゆく。外部に熱を伝え、コーヒー自体の温度がだんだんと低くなってゆくのだ。
ここで私はコーヒーを飲む。カップに入ったコーヒーの量は減る。コーヒーの量が減ると、それに応じて、外部へ流れる熱の量も減る。フタやコーヒーカップは、壁のようなものと考えていたが、全く熱を遮断するものではなく、コーヒーから熱を受け取っている。つまりコーヒーと同じように熱くなる。
こうしてコーヒーは急激に冷え、飲み干す直前に残されたコーヒーは、驚くほど冷えている。そこで問題だ。
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ある形状をしたコーヒーカップCに、ある温度Tの熱容量γのコーヒーをある量Vだけ注ぐ。外部の気温はθとする。コーヒーを常にある温度φ以上、「温かく」飲むためには、私はどのくらいの頻度で、どのくらいの量ずつ飲んだらよいだろうか?
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物理学者にとっては、ドーナツもコーヒーカップも回転寿司も同じようなものだ。しかし、物体は物質であり、必然的に高温、低温とは何か、という問題に取り組まねばならない時はやってくる。生きるということは熱を帯びるということ、ゆえに私も熱を帯びよう。問題提起から始まる、生きている世界(フルイド)へのアプローチがあるのだ。