
さて、今回からいよいよラテン語という言語の仕組みについてお話しましょう。
皆さんは英語を学んだ時、文法の勉強はどうでしたか。苦手だった方、得意だった方といろいろいらっしゃると思います。ここでは、準備段階として文法用語を少しばかり紹介します。ラテン語文法を理解するのに少し時間がかかるかもしれないので以下にまとめます。
まずは、「数」についてです。
「単数」とは、1人、1つに対して使います。
「複数」とは、2人、2つ以上に対して使います。
例えば「ユリウス・カエサル」は単数です。「私」も「富士山」も単数です。それに対して、例えば、「私たち」、「君たち」、「4個のりんご」、「ニシキヘビ3匹」は複数です。
次に、「人称」についてです。
「1人称」とは、言葉を発しているひと、もの自身のことです。
「2人称」とは、言葉を発しているひと、ものの相手のことです。
「3人称」とは、言葉を発しているひと・もの自身でも相手でもない存在です。
例えば、「私」、「私たち」が1人称です。「あなた」、「君たち」、「諸君」などは2人称です。そして、「ユリウス・カエサル」、「富士山」は3人称になります。
ここまでで「知っているよそんなこと」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ラテン語を読み解くうえで、この「数」・「人称」についてはっきり区別・分類することが必須なのです。
私自身、語学の勉学で信じていることがあります。それは、
「あるひとつの言語があったときにその言語について知るには、すでに知っている言語に比べて、文法や発音の違いなどの変化に気付くのが一番の勉強法である」
ということです。これは語学に限ったことではありません。上の言葉で「言語」を「学問」に、「文法や発音」を「定義や記述方法」などに読み替えれば、通ずることだと私は思っています。
私はこう信じているので、日本語をラテン語になおす場面を見ることで、ラテン語の特徴が分かりやすくなると思っています。
それでは、日本語の文章を見て、数、人称について注目してみましょう[課題]。
- 私はTheBeatlesが好きだが、彼らはQueenが好きだ。
- 君は、どうして彼女のことが好きになったんだい?
- この文学作品は、あなたの作品群を基にしている。
- 我々は、彼の逃亡が成し遂げられるとは思っていない。
- 彼らは星々を愛する。
あともう少しです。最後に、名詞と動詞についてお話をさせてください。
「名詞」はひとやものの名前を表す。
「動詞」はひとやものの動きを表す。
ここまでは基本的事項です。極めて重要なことは、
「動きをしているのは一体誰か、その動きの対象は何かをみつけること」です。これは、ラテン語の文章、または名句を解釈するコツでもあります。上の例文で、名詞と動詞をみつけたうえで「誰が何にどういう動きをしているか」を探ってみてください。
さて、いよいよここからがラテン語という言語の話です。
ラテン語は語尾変化が命です。具体例をお見せしましょう。まずは、ラテン語の授業でおそらく最初に習う動詞、amo「愛する」です。アモー、と読みます。動詞ですから、主語が当然あるわけですが、なんとラテン語の動詞は、語尾変化で主語が分かるのです。以下にどういうことか示しましょう。
amo …私は愛する アモー
amas …あなたは愛する アマース
amat …彼は愛する アマト
amamus…私たちは愛する アマームス
amatis …あなたたちは愛する アマ―ティス
amant …彼らは愛する アマント
と、主語に応じて語尾が変化するのです! 英語では”I love”の二語で表したのを”amo”一語で表せるのです。主語の「数」・「人称」も注目してみてみましょう。覚えていて欲しいことは、動詞の語尾で主語が分かるのがラテン語なのです! 語尾変化で変化していない部分がありますね。そう、amaです(単数1人称のamoは例外)。あとの語尾である、-o,-s,-t,-mus,-tis,-nt は、現在動詞の変化の基本です。つまり他の動詞でもこの語尾変化は共通するということです。
(いにしえのうたごえ:1ー2名詞編に続きます)