
さて次に、名詞はどうなのかみてみましょう。名詞も語尾が変化します。その様子を、「星」stella を例にとって見てみましょう。
単数
主格 stella ステッラ
属格 stellae ステッラエ
与格 stellae ステッラエ
対格 stellam ステッラム
奪格 stella ステッラー
呼格 stella ステッラ
複数
主格 stellae ステッラエ
属格 stellarum ステッラールム
与格 stellis ステッリース
対格 stellas ステッラース
奪格 stellis ステッリース
呼格 stellae ステッラエ
この変化のなかで、聞きなれない言葉がありますね。それは、「主格」、「属格」、「与格」、「対格」、「奪格」、「呼格」だと思います。それぞれどんな意味があるのかどう訳せばいいのか、以下に示します。
主格:「~は」主格の語尾変化は、主語である。
属格:「~の」属格の語尾変化は、所有を表す。
与格:「~に」与格の語尾変化は、第二目的語を表す。
対格:「~を」対格の語尾変化は、目的語を表す。
奪格:「~で」、「~によって」奪格の語尾変化は、手段・方法を表す。
呼格:「~よ」呼格は、よびかけを表す。
どういうことなのか、例えでみていきましょう。
単数の与格つまり「星に」ですと「stellae」、複数の対格つまり「星々を」ですと「stellas」と変化します。ラテン語では、語尾変化で名詞をどう訳せばいいかがわかるわけですね。
また、ラテン語には冠詞・不定冠詞はありません。英語でいうところの”a”や”the”に相当する言葉がありません。したがって、「stellam」と書いて、どの「星を」を意味するかは、文脈で判断します。
さて、ここからはいよいよ日本語をラテン語になおしていきます。覚えて欲しいことは、動きをしているのは一体誰かをみつけることです。したがって、まず日本語の段階で、次のことをおさえておきましょう。
- 動詞をみつける
- 誰がその行為をしているのか理解する
- その行為は何に向かっているのか理解する
では、次の例文をラテン語になおしていきましょう。
「彼らは星々を愛する」。
まず、動詞をみつけましょう。「愛する」ですね。次に、行為者をみつけましょう。「彼ら」になりますね。そして最後に、この動詞は何に向かっているかを探します。何を「愛する」かと言うと、「星々」です。
そうしたうえで、行為するひとと、行為の向かった先の言葉が単数・複数か、何人称であるかみていきます。ここでは、行為者は「彼ら」です。つまり、三人称複数です。「愛する」の三人称複数である「amant」を使えばよいのです。次に動詞の向かう先、「星々を」をみていきます。「星々を」、つまりstellaの複数対格「stellas」を使えばよいわけですね。
さて、これから文章にしていきます。実は、ラテン語では語尾変化させた単語を並べるだけで文章ができるので、簡単です。つまり
Amant stellas.
で「彼らは星々を愛する」と言う意味のラテン語の文章ができます。さらにラテン語では語順はあまり気にしません。ですから、
Stellas amant.
でも同じ意味の文章が作れます。特に「この言葉」を強調したい、と言う場合には、「この言葉」を文頭にもってきます。
さて次です。
「わたしたちは星々を愛していない」。
これは否定文です。否定文にするには、あっけないほど簡単です。それは、否定したい後の前に「non」をつけるだけです。
Stellas non amamus.が正解です(ドラッグして反転してください)。
どんどんいきましょう。
「あなたは星を愛しているのですか?」。
これは疑問文です。疑問文の作り方は少し慣れが必要です。「はい」か「いいえ」で答えられる疑問文を作るには、質問したい語の語尾に「ne」をつけます。
Amasne stellam?が正解です(反転してください)。
最後です。
「星を愛しなさい」。
これは命令文です。命令文を作る場合は、少しラテン語の動詞のことを覚えなければいけません。すでに述べたように、ラテン語の動詞は、数・人称によって形を変えていきます。しかし、動詞には形を変えない「不定法」という形が存在します。「愛する」amoの場合は、amareといったふうに。命令文をつくるには、動詞の不定法からreをとったものになります。つまり「愛しなさい」はラテン語で「ama」になります。
これは二人称単数の作り方です(つまり一人の相手に命令する場合)。二人称複数の場合(つまり複数の相手に命令する場合)は、不定法からreをとり、teを付けます。「諸君、愛しなさい」は「amate」となるわけですね。
Ama stellam.が答えになります。
このように、ラテン語は語尾変化が大事です。ラテン語を読むには、もちろんその語尾変化を覚えなくてはなりません。それも、膨大な数があります。しかしご安心ください。当講座「いにしえのうたごえ」では、必要な語尾変化をすべて表すので、覚えることは不要です。知って欲しいのは、日本語の文章がどのようにラテン語になおされるのかです。
それではまた次回、お会いしましょう。次は、もう少し面白い文章を作っていきますよ。お楽しみにしてください!