高校物理で習った力学でまず出てくるだろう「坂道」の問題。水平面と角度θをなす坂道を滑る物体の問題だ。この問題は、力のつり合い、摩擦力、運動方程式、力学的エネルギーの保存則まで、高校物理の始めに学ぶ要点がぎっしり詰まっている。解きなれたひとは解きなれているだろうし、要点をつかめばとても簡単な問題であると思う。しかし、いま私はこう考えている:
その坂道は、どこまで続いているのか?
普通はこんなことは考えない。考えていたら、試験時間などが過ぎてしまうし、そもそも、大体の図には坂道が全て描かれているわけではない。図には限りがある。いわゆる「紙面の都合で」というやつだ。紙面の都合ならしょうがないというのだろうか? いや、そうではない。たとえば無限に続く坂道を滑る物体はどうなるのか? どうなるかを、人間の頭のなかで考えてみる。黒板やホワイトボードの隅から飛び出してみるのだ。いやそもそも、坂道を滑らなくてもいいではないか。物体を落下させたとき、その物体はどうなるか? 無限に落下速度を上げ落下してゆくのか?
A.
物体は、空気抵抗や摩擦で次第に速度を下げ、
坂道の上で運動をやめるか終端速度に落ち着く。
さて、なぜだろう? 物理学上で無限とは何だろう。私は、混乱している。
この混乱、困惑を、捨てればいいかもしれない。気象の試験が迫っているから、こんなことを考えずに、苦手な「大気の構造」を復習した方がいいかもしれない(終端速度の問題は出るかもしれない)。しかし、単純に湧いた疑問、ふとした疑問、ずっと抱いている問題を、「考えず」にいることは、それこそ苦痛だ。
「なぜ」は尽きぬ。
運動をやめ、物体は変化しなくなる。系は静的になり、外力でも与えない限り、ずっとそのままでいる。その状態を、「平衡状態」という。