世にはいろいろな「坂道」がある。バリアフリーのためのゆったりとしたのもあるかと思えば、険しい山に伴うのもある。坂道を上るとはどういうことか、考えたことはあるだろうか。日常では、たぶんそんなことを意識することはないだろう。しかし急な坂道に対しては、息切れしながら坂道に対して怒りを感じるかもしれない。自転車で駆けていくとき、坂道をすごく意識する(私だけではないだろう)。
さて、それはなぜだろうか。
サバイという国にいる一人の男がいた。彼は坂道を計算する方法を発見した。サバイは平原に作られた国で、少しでも傾きがあると、その傾きを平らげてしまうほど傾きには敏感な国だという。男は古文書を解読し、いにしえの言葉に注目した。その言葉とは…、
tangent
タンジェント、だ。彼によるとタンジェントとは、古代の言葉で「触れる」という意味らしい。触れる、何に触れる…? 男は考えた。
男は坂道を計算する。
高さ/水平距離=勾配
という簡単な式を使って、傾きの度合い(難しい言葉で、「勾配」という)を求める。男はサバイの古文書を読み進めた。すると、タンジェントが作る曲線が存在する。男はその曲線図を見て思った。
なんて美しい世界図なのだ、と。
現代ではtanは数学の用語で、三角関数として高校数学で習う。サバイは架空の国で、ここで出てくるタンジェントのことに他ならない。問題は何が触れるのか、だが、これは、原点0でのタンジェント曲線の傾きは1に等しいことを言っているのではないか。つまり、原点0でy=xに「触れる」ことを意味するのではないか?
たぶんここでは三角関数の歴史を追えば分かることなのだろう。
その彼、サバイの術士は言ったという。
「平原だけで我々の国はならない。何かを始めるためには、時には勾配がないといけないときもあるのだ」と。