あの日きみはなにをしていたか。
暦の上では夏ももう終わりのようだが、依然として気温が下がらず、暑いままである。私は以前、「レーゾンデートル」というタイトルでゲームの二次創作品をイベントで刊行した。その製本をしていたのが同じく夏の暑い日であった。
夜。近頃にしては涼しい風が体を撫でる。私は考える、他の誰でもないきみがいま何をしていて何を思っているかということを。思えば私は恋をしていた。恋文だけの仲から逢瀬を重ねるほどまで達したかったが、それも叶わず別れてしまった。とても悲しい恋だった。
あの頃は…恋文を交わしていた頃は、毎日が潤っていた。雨の後草木のように、そこら中に雫があった。空気が湿っていると水は露を結び、そしてなかなか蒸発しないものだが、まさに私の気持ちも同じようだった。乾いた心が、確かに豊潤化していった。
「レーゾンデートル」は、色々なひとに読んでもらった。親族からカフェのドミナ、また友人に。「レーゾンデートル」では書ききれなかったことはなんだろうか。現在の私は、そんなことも考えている。
はっきり言って、ものすごく沢山あると思う。廃頽する世界。血族のトラウマ、そしてそれに連なる現在。友情。愛に対面した若者の戸惑い。希望を取り戻すひとたち。赤焼けた空、そしてその意味。
私たちはあの赤焼けた空に何を求めていたのか。それはほかでもなく、大切な仲間との再会だ。一緒に夢を取り戻すその姿に、私は深く感化され、もう一度筆をとりたいと考えた。
もう一度、と「彼」は立ち上がる。
挫折があってこその希望だ。私は過去が恋しくて回想しているわけではない。赤焼けたあの空の下で、きみに会いたいから回想しているのだ。実際の世界で、自分のしていた行動に…意味を持たせるために。存在理由を。