「楷書体」 / 恋愛賛歌


例えば、愛しく想うひとへ手紙を書くように

伝えたいことをあらかじめノートに下書きしてさ

便箋にはとことんこだわって

何色のペンで書くか そもそもどんなペンで書くか

筆圧はどれくらい、なんて決めて こう書き出す


「この手紙を受け取ってくれてありがとう」


楷書体でつづる想いには真実しかない

三行目くらいに、やっと、伝えたいことを書く


「あなたのことが大好きです」


“この文を読んだあなたは どんな顔をするだろう”

そういうことは考えすぎずに 一心不乱に楷書体はつづく


雲の便箋が足りなくなるくらい、想いをつづる

言葉が、感情が、あふれかえる

あなたのことを好きになってよかった、ありがとう、と

楷書体は止み 封筒へ、花の香りがする封筒へ


すぐにやり取りできる、細い糸でつながる、そんな関係よりは

ずっといいだろうと あなたのことを充分に想うことができる

私はとても幸せだった、自己満足の類ではなく

あらゆる存在を超越している、そんな心

好きという想いは 最高のたからもの、大事だし、大事にしてほしい


例えば、手紙を書くように

受け取るあなたのことをずっと想って、また、楷書体を始める


分厚いノート、たくさんの便箋を用意して

同じ雲を見ているあなたへ 捧げる


もくもくとした雲、艶やかな花の香り、そして「君」の声

もっと五感で、たくさん「君」を感じたい


きっと、「君」への想いは

楷書体だけでない、新しいかたちが待っている


心は私が思っているより自由かもしれない

たとえば筆記体のような 流れゆくもの、動きのあるもの。

たまにはいいかもしれないけれど、やっぱり「君」へは 楷書体でつづりたい

投稿者: lute369

生きている限り、学ぶこと。それが私のすることです。 Dum spiro,disco.

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