たまには休憩したらどうだい、と私のなかの大人は言う。
いま私の部屋の外からは雨が降っているのが見える。しとしとと、またはぱらぱらと降っている。北海道は、夕方にかけて大雨が予想されている。
休むわけにはいかないよ、と私のなかの科学者は言う。
どこかの場で言ったかもしれない、または書いたかもしれない。私は気温差でダウンしていた。いまは春から夏に切り替わるとき。…もう夏と言ってもいいくらいだ、もうすぐ夏至であるのだし。
夏の日差しは痛いよ、と私のなかの病人は言う。
先週、あの子がずっと休んで来なかった。どうしたんだろう、と思う。私はかなり寂しかった、あの子は真面目に話を聞いてくれて。そばにいるとかなり安心できる。ほっとするんだ。そんな私の「寂しさ」を伝えたら、あの子はどう思うだろう?
あなた女の事情を全然分かってないのね、と私のなかの女は言う。
大人は、私に麦茶の入ったコップを差し出した。
科学者は、そのコップの容積を計ろうとする。
病人は、素直に麦茶を飲む。
女は、コップを洗い片付ける。
いま私に必要なのは、誰だろう?
誰でもないのだ、私は私だ。
私は麦茶の入ったコップを静かにテーブルに置き、素直にそれを飲もうと思う。音を立てずに、ゆっくりと動作する。まるで、いつの間にか空に浮かんだ月がいつの間にか地平線へ沈むように。麦茶は、これからの季節にぴったりだとなんとなく思うが、なぜぴったりだと思うのだろう。
…最近ちょっと科学者をやりすぎかな、もう少し大人になってみよう。たまには麦茶を静かにやるのも悪くない。