ガラスは、いつまでも輝くことはない。同じように、夜は、いつまでも孤独であることを強いることはない。私たちとその周りは、絶えず変化していて、立ち止まることはない。「いつまでも」なんて、ないのだ。いま享受している幸福も、身に続きを読む “排水溝の夢を見た。”
カテゴリーアーカイブ: 読書
「雲に君見む」1-3
一瞬の出来事だった。瞬間的に見えた「白と黒の世界」は、強烈に隼人の網膜に写された。彼は立ち眩みを起こしたが、なんとか持ちこたえ、書籍棚の側についている手すりにつかまった。 「パン屋にいこう。ちょうど空腹だし」 書店をあと続きを読む “「雲に君見む」1-3”
「雲に君見む」1-2
北斗市・函館市は、近年ふしぎな店がオープンしつつあった。隼人は自動車免許更新の帰りに、大規模書店へ寄った。入口にあるカフェでエスプレッソを注文すると、真っすぐに理学系のコーナーへ急いだ。その向かうさまは、まさにエスプレッ続きを読む “「雲に君見む」1-2”
「雲に君見む」1-1
一、湾あるふるさと いまは走らない日本海。 日本海は、隼人をいつも懐かしい思いにさせていた。日本海に揺られている間は、彼にとってかっこうの深慮の時間となった。 日本は海に囲まれている。オホーツク海、太平洋、東シナ海、そし続きを読む “「雲に君見む」1-1”
「雲に君見む」プロローグ
心には、古い塔が建っている。 昔からある、馴染み深い、愛しい場所。塔に来れば、心のすべてを見渡すことができる。 いま、わたしはなにを考えているのか。 なににつまづいているのか。 なにに苦しみ、誰にも悩みを打ち明けられずに続きを読む “「雲に君見む」プロローグ”
「ブルームーンの下で」、序章~ある者による独白
『彼は、唐突に声を失った。 原因は今のところ分からない。 ただ、彼はひとつの強い意志を心に 抱いていた。 その意志は、声にこそ出せなかった。 しかしひとびとは彼の主張に畏怖した。 彼の弁論術、行動学は、とても力強く、 そ続きを読む “「ブルームーンの下で」、序章~ある者による独白”