翌朝のことだった。SNSアカウントにアップロードしているフォトアルバムに、たくさん「いいね!」がついていた。木元さんからのものだった。小さな赤いハートが、フォトアルバムのなかの写真一枚一枚にそれぞれ、あますことなくついて続きを読む “みそらの歩き方(6) / 短編小説”
カテゴリーアーカイブ: 読書
みそらの歩き方(5) / 短編小説
今日の講義では、橋本教授に変わって、グループAの代表であるぼくが話すことになっている。いつもより早い朝、顔を丁寧に洗いひげをそり、念入りに歯磨きをして、プレゼンテーション用のノートパソコンを鞄にしまって研究室に向かった。続きを読む “みそらの歩き方(5) / 短編小説”
みそらの歩き方(4) / 短編小説
翌朝、ぼくはゆっくりと目を開けた。頭痛や吐き気、身体の痛みはない。ただ、胸の奥に昨日の夜の余韻がまだ残っている。水を一杯飲んだ。昨夜のことが、まるで夢のように思い返される。 木元さんの声。星空。「空の物語を読みたい」とい続きを読む “みそらの歩き方(4) / 短編小説”
みそらの歩き方(3) / 短編小説
居酒屋『在り処』に着いたぼくたちは、5番テーブルでゆっくりとした時間を過ごしていた。5番テーブルが一番落ち着けることをぼくは知っていた。「もし良かったらさ―――」ぼくはできるだけ声のトーンをゆっくりにして言った。「―――続きを読む “みそらの歩き方(3) / 短編小説”
みそらの歩き方(2) / 短編小説
バー「MISORA」で、ぼくたちは過ごしていた。外は少し湿った夏の夜。空には、薄い巻雲が月の光を受けて淡く光っている。木元はグラスを持ったまま、ふと窓の外を見ていた。 「昼の雲とは、全然違いますね」ぼくは少し笑ってしまっ続きを読む “みそらの歩き方(2) / 短編小説”
みそらの歩き方(1) / 短編小説
「あなたが空を見上げると、ほら! いつの間にか『彼ら』はそこにいる。彼ら―積雲というんだが―今日もみそらを歩いている。彼らはいつの間にか現れ、そしていつの間にか消えている。せつないかもしれないが、でも、彼らは『生きている続きを読む “みそらの歩き方(1) / 短編小説”
あの浜辺で待っている
約束をしたね、とても大切な約束さ。 どんなに孤独でも、心の問題に真正面から向き合った。 私もかつては孤独だった。もしかしたら今も孤独なのかもしれないけれど。 ひとにどうされようが、自分を貫いた。 自分とは何だろう、いまだ続きを読む “あの浜辺で待っている”
クッパの家庭事情
なんだか、日常で周りに「いやだな」と感じているひとはいないだろうか。私は二人ほどいる。ぶっちゃけてしまうと、視界にいれたくないくらい嫌っている。相手のことを考えずに暴言を吐く彼らのことを考えたくないから、この記事で彼らの続きを読む “クッパの家庭事情”
麦茶の置き方
たまには休憩したらどうだい、と私のなかの大人は言う。 いま私の部屋の外からは雨が降っているのが見える。しとしとと、またはぱらぱらと降っている。北海道は、夕方にかけて大雨が予想されている。 休むわけにはいかないよ、と私のな続きを読む “麦茶の置き方”
あなたの仕事は生きること、
連日のダウンから今日で3日目、病み上がりにこの投稿をする。 最近、あるひとに質問された。 「生涯ずっと嗤われるのと、生涯ずっと怒られるの、どっちがいい?」 多くのひとは、「どっちもいやだ」と答えるだろう。しかし私は生まれ続きを読む “あなたの仕事は生きること、”