みそらの歩き方(3) / 短編小説

居酒屋『在り処』に着いたぼくたちは、5番テーブルでゆっくりとした時間を過ごしていた。5番テーブルが一番落ち着けることをぼくは知っていた。「もし良かったらさ―――」ぼくはできるだけ声のトーンをゆっくりにして言った。「―――続きを読む “みそらの歩き方(3) / 短編小説”

みそらの歩き方(2) / 短編小説

バー「MISORA」で、ぼくたちは過ごしていた。外は少し湿った夏の夜。空には、薄い巻雲が月の光を受けて淡く光っている。木元はグラスを持ったまま、ふと窓の外を見ていた。 「昼の雲とは、全然違いますね」ぼくは少し笑ってしまっ続きを読む “みそらの歩き方(2) / 短編小説”

みそらの歩き方(1) / 短編小説

「あなたが空を見上げると、ほら! いつの間にか『彼ら』はそこにいる。彼ら―積雲というんだが―今日もみそらを歩いている。彼らはいつの間にか現れ、そしていつの間にか消えている。せつないかもしれないが、でも、彼らは『生きている続きを読む “みそらの歩き方(1) / 短編小説”

あの浜辺で待っている

約束をしたね、とても大切な約束さ。 どんなに孤独でも、心の問題に真正面から向き合った。 私もかつては孤独だった。もしかしたら今も孤独なのかもしれないけれど。 ひとにどうされようが、自分を貫いた。 自分とは何だろう、いまだ続きを読む “あの浜辺で待っている”

あなたの仕事は生きること、

連日のダウンから今日で3日目、病み上がりにこの投稿をする。 最近、あるひとに質問された。 「生涯ずっと嗤われるのと、生涯ずっと怒られるの、どっちがいい?」 多くのひとは、「どっちもいやだ」と答えるだろう。しかし私は生まれ続きを読む “あなたの仕事は生きること、”

Sa Chouchou (10) / 短編小説

 ぱたりと旅の記録を閉じ、僕はもう一度、銅像を見上げた。「これが、あの像だったなんて…」 思わず声が漏れる。  確かに、この記録の通りに、世界は変わった。ロステンバウムの森は再び緑が満ち、木々はかつてよりも力強く枝を伸ば続きを読む “Sa Chouchou (10) / 短編小説”