「パルメラは水の巫女だった」 最初の一行というのは重要であることは身に染みているつもりであるが、最近どうもこれだ!という一行が書けない。インパクトに欠けるというか。後に続く文章の質にもよるだろうが、自分自身で読んでいて、続きを読む “とある日の机にて”
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アンティーク・モレイル紹介1
「その先の世界を見たくはないか? そうだ、未だかつて行ったことのない世界を覗いてみたくはないか」 「運命大橋」という大橋がございます。ディダスカリコン、と呼ばれる文化世界にかけられたこの大橋は、ひとびとの畏れの対象でした続きを読む “アンティーク・モレイル紹介1”
すべてがうそになる
テレビに向かって、一言を投げやる。 「この毒電波め」 私が見てきたものは、私ではない誰かが選んだものだ。誰かが勝手に選んだ周波数を私は見て聞いてきた。幼いころからそういう作られた環境にいた私は、周りの多くが期待したように続きを読む “すべてがうそになる”
織り成す二つの心
「君、心は何次元か?」彼はしゃがれた声で私にそう問うた。 彼は…博士は、連日の報道にうんざりしていたようだった。世界疫病の感染状況に、そして非道な世界戦争の中継に、博士は実際に顔を背けていた。そうかといって代わりに見るも続きを読む “織り成す二つの心”
「雲に君見む」3-1
三、想像にまかせる 夢にジャミングが走った。 一人暮らしをしていたころから、たびたびそういう不連続な夢の境界線が走ったことがあった。隼人はまた例のか、と思った。彼にとっては日常茶飯事の出来事だった。 心のことは、どうなっ続きを読む “「雲に君見む」3-1”
「雲に君見む」2-6
「悲しいわ、とても。なぜ〈夜と霧〉を題材に選んだの? せっかくのおいしいワインが台無しよ」 真衣は陽気で美しく、そして正直な女性だ。楽しいときには楽しいと言うし、悲しい時には悲しいと言う。決して嘘などつかない女性だ。いつ続きを読む “「雲に君見む」2-6”
「雲に君見む」2-5
なんだか、フランス映画のなかにいるようだった。愛と郷愁。自由と革命、科学と平和、美とワイン、流音と鼻の高さ、そして、白と黒の世界。 一般教養を受けた頃から今現在にいたるまで、特にフランス文学に慣れ親しんだわけではない。フ続きを読む “「雲に君見む」2-5”
「雲に君見む」2-4
「白と黒の世界」隼人はふと、つぶやいた。 これらは、いったいなんだ? 白い炎と黒い炎という表現は、とっさの表現とはいえ、あとからその二つの像を見ていてもずっとそう思えた。炎と呼ぶにそれらはふさわしく、像の底部から上部にか続きを読む “「雲に君見む」2-4”
「雲に君見む」2-3
「ラテン語に出会ったのは、大学三年の夏のときでした。当時は四年にあがるときに単位が足りないということで、長期休暇の時に開講する特別講義を受けてばかりいました。早熟の子どもとどう接するか、という特別講義も受けたことがありま続きを読む “「雲に君見む」2-3”
「雲に君見む」2-2
音楽は、ひとそれぞれ好みがある。早いテンポで曲調の変化が激しい曲を好むひともいれば、隼人のように長く壮大で聞きごたえがある曲を好む場合もある。自身の好みを、他のひとからああだこうだと言われる筋合いはない。だいたい、ああだ続きを読む “「雲に君見む」2-2”